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福井商の奥田泰平外野手=県営 |
4回2死三塁。福井商の先頭打者、奥田泰平(3年)の打球は一塁の正面で大きくはねた。奥田は、ここぞとばかり全力で駆け抜けた。俊足を生かして内野安打とし、貴重な4点目を挙げた。
今大会に臨む奥田には特別な思いがあった。
昨夏の準決勝、若狭戦。1点リードで迎えた8回2死二、三塁、奥田は中前の打球に飛びついた。だが、わずかに届かず、逆転を許した。9回表に追いついたがその裏、サヨナラ負けした。
20年連続の決勝進出記録が途切れた。奥田は自責の念から、しばらく立ち直れなかった。小学3年から始めた野球を本気でやめようと思った。
落ち込む奥田を北野尚文監督は「一度死んだと思え。そこから人間は強くなれる」と励ました。
いつまでも落ち込んでいられないと思った。監督の言葉を胸に、奥田は「来年こそは借りを返してやる」と誓った。
Tシャツの右袖に「2004年7月27日の涙を忘れない」と縫い込み、それを着て練習した。
迎えた今夏の準々決勝。2回にフライを取り損ね、先制を許した。昨年の悪夢がよぎって頭が真っ白になり、打席に集中できなかった。
試合後、思い直した。昨年と同じ思いはしたくない。「死ぬのは2度目。もっと強くなれる」と自分を奮い立たせた。
準決勝で4打数3安打と打撃の調子を上げ、そのまま保ち、決勝での貴重な追加点を生んだ。
斉藤が最後の打者を空振り三振にしとめて優勝が決まると、奥田は仲間と一緒に跳びはね、喜びを爆発させた。
だが奥田は「全国制覇するまでは、去年の借りは返せません」と話す。右袖に誓いを込めたTシャツを、甲子園にも着ていくつもりだ。