第87回全国高校野球選手権大会(日本高野連、朝日新聞社主催)の第6日となる11日、福井商は日本航空(山梨)と対戦した。先制された福井商は3、4回に逆転して差を広げたが、徐々に加点され、まさかの再逆転負けを喫した。
日本航空の打者のスイングは福井商の捕手、斎藤進吾の予想以上だった。
組み合わせが決まってから毎日2時間、ビデオを見て相手打者を研究した。しかし相手は、分析したデータと違う打ち方をしてきた。気を引き締め、配球を直球から変化球主体にした。
福井商の打線は3、4回、相手のミスに乗じて要所で安打を打ち、たたみかけた。斎藤も逆転の2点適時打を自らのバットでたたき出した。
援護を受け、エース林啓介はテンポよく投げ出した。「このままいけば」と斎藤は思った。
しかし4点リードで迎えた5回裏、先頭打者に二塁打を打たれた後、2連続で四死球を出し、1死満塁のピンチを迎えた。
マウンド上の林は笑顔だった。だが、試合前は何ともなかった右足首がひどく痛んでいた。だれも林の異変に気づかなかった。斎藤は走者を出すたびマウンドに駆け寄り、「思いっきり来い」と励ました。
しかし林は6、7番の一塁ゴロ、2点適時打で3点を奪われた。次打者に1球投げたところでしゃがみこんだ。
斎藤は、初めて林の異変に気づき、急いで駆け寄った。「痛いからもう、ふんばれない」と林はもらし、降板した。
急きょリリーフした斉藤悠葵は、制球に苦しんだ。6回には四球で出て暴投などで進んだ走者が、適時打でかえり同点に追いつかれた。
福井商打線は毎回走者を出したが、日本航空のエース長岡の変化球主体の投球に押さえ込まれ、連打が出ない。7回裏1死三塁、内角に甘く入った直球を中前に運ばれ、勝ち越された。これが決勝点となった。
試合後、最後の打者となり、空振り三振した斎藤は泣き崩れた。
「林の異変に気づけなかった。調子は悪くない斉藤を、うまく投げさせてやれなかった」
試合前、誰よりも緊張し、「脈の打ち方が普段と違うんですよ」と話した4番打者、山本正幸。7、9回に貴重な安打を放った。だが後続が倒れ、勝ち越し、同点のホームを踏めなかった。
「前半にリードを奪ったままの気持ちでいればよかった」と表情に悔しさを浮かべた。
3番打者小坂翔太は、4回にチームを勢いづける2点適時打を放った。しかし、後の2打席はいずれもフライを打ち上げてしまった。「チャンスで打てず、点をとれるときにとれなかったのが敗因」と目を真っ赤にして球場を去った。