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星稜・山岸礼選手 |
7回、金沢・須貝の投じた3球目が星稜の1番山岸礼(あきら)の右ひざを直撃した。アイシングをして、なんとか一塁まで歩いたが、塁上でひざに手をついた。
監督の山下智茂は山岸をベンチで治療を受けさせるため、9番の北川竜乃介を臨時代走に出した。9回までにあと1回は打席が回るため、ここで山岸をさげるわけにはいかなかった。だが、激痛はひかない。悩んだ末、山下はプレーを続けるのは無理と判断し、改めて代走を告げた。
「なんでここで死球なんだ……」。山岸は悔しくて仕方がなかった。
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2年のころから俊足巧打を買われて試合に出ていた。不動の1番打者、のはずだった。
6月の北信越大会。「練習にひたむきさが足りない」と、山下は山岸をベンチに入れなかった。「うそだろ……」。チームメートからも驚きの声が漏れた。大会では主将の中井浩祐を1番に起用したが、準決勝で対戦した福井商の好投手に打線は沈黙。「山岸が戻ってくれば、勝てるチームになるのだが……」と山下は漏らした。
山岸はベンチ入りもできないならと、一時は退部を真剣に考えた。そんな山岸を励ましたのが両親と仲間たちだった。「夏のベンチを目指せ」「お前がいないと勝てないぞ」。「あのころから山岸が本当に必死になって練習しだした」と中井は振り返る。
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「片岡よく投げているな」「絶対に逆転してくれよ」。試合から退いた山岸はベンチから祈るように試合を見つめた。
9回裏。山岸は足を引きずって一塁コーチに向かった。ここまで1試合1試合、公式戦に出られることがうれしかった。グラウンドから仲間のプレーを最後まで見届けたかった。
試合後、山岸はチームメートと握手をした。「これまでで最高の友達」。家に戻ったら、両親にまず「ありがとう」と伝えるつもりだ。