創部60年目にして甲子園に初出場した静清工。目立った選手はいないが、攻守のバランスが光り、甲子園での初勝利も手にした。静岡大会優勝までの道のりと甲子園での戦いを振り返る。
静岡大会では前川、伊藤の二枚看板を中心に、準々決勝まで無失策の堅守で全6試合を3失点以下で乗り切った。攻撃では甲子園に出場した49校の中でも最多となる30犠打を記録。「堅実な攻め」で119校の頂点に立った。
攻守の確実性は猛練習の成果だ。全体練習が終わり、夕食を取った後も選手たちは各自で練習。深夜1時に及ぶこともあった。厳しい毎日を耐え抜いたのは、試合に負けるたびに「頼れるのは練習しかない」(具志主将)と奮起したことと、飽きのこない多彩な練習方法にもあった。
二塁手の平松は、グラブの代わりにスリッパで捕球する練習をし、グラブを立てる感覚を養った。4番を打った鈴木はピンポン球でミートの練習、7番又平は幅20センチの長いすの上で素振りを繰り返し、バランス感覚を身につけた。「自分で課題を見つけ、選んで練習するから楽しかった」と又平は振り返る。
大阪入りした静清工は、普段と変わらぬ守りを中心とする練習をこなした。宿舎でも駐車場で捕球練習や素振りをし、実戦感覚を取り戻した。
江の川(島根)と対した1回戦。初回に先頭打者忠内の中堅返しを足がかりに先制、3回にも忠内の出塁から4点を奪った。忠内は県大会では打率2割を切っていたが、大舞台で力を発揮。チームで計13安打を放ち、8得点で打ち勝った。
得意のバントも好機を広げた。初回、無死一、二塁から具志が三塁線へ絶妙なバント安打を決めて満塁。併殺の間に三塁走者が生還した。
2回戦は宇部商(山口)。前日の練習で、金城監督は前川の投球を「県大会からこれまでで、一番の出来」と評し、自信を持って臨んだ。しかし、自慢の堅守が崩れてしまった。
先発した前川は初回を三者凡退に抑えたが、2回に2死一、三塁から内野ゴロをはじく失策が出て先制された。6回まで無失点で切り抜けたが、7回に追加点を奪われ降板した。
3回戦進出はならなかった。が、前川が「最高に楽しんで投げられた」と話せば、具志も「力を出し切れて楽しめた」。2試合ともアルプススタンドがあふれるほどの観客が入り、大歓声の中での試合を満喫したようだった。