収益を人口の多い京阪神に頼るJR西日本は、他社との競合のなか、主要路線で相互乗り入れや高速化を進め、新型車両を次々導入している。ベッドタウンと都心を結ぶJR宝塚線は、同社が複線化や高速化に力を入れてきた路線のひとつだ。
「それは、ありません」。JR西日本の村上恒美・鉄道本部安全推進部長らは25日午後の記者会見で語気を強めた。記者から「列車の遅れに対し、特にうるさかったのではないか」と問われ、真っ向から否定した。
JR西日本は分割民営化後、沿線人口が比較的多い京阪神の主要路線を「アーバンネットワーク」と名付け、輸送力のアップを急いできた。04年3月期で約7500億円の運輸収入のうち、約40%の約3千億円を稼ぎ出す。
事故があった宝塚線も、兵庫県三田市や宝塚市などのベッドタウンと都心を結ぶ同ネットワークの大動脈の一つ。競合する阪急宝塚線に対抗するため、複線化や通勤時間帯の快速列車の高速化や増発で、輸送力を急速に引き上げてきた。ラッシュ時は3〜4分間隔、事故当時も5〜6分間隔で運転し、宝塚―大阪間は最速で23分。阪急を7分上回る速さを武器に客を取り込んできた。
現場付近の尼崎駅には、神戸線(東海道線)や宝塚線、東西線が乗り入れる。列車に遅れが出ると、接続する他線の列車も遅れることがあり、影響も大きい。
ある私鉄関係者は「1分の遅れが後続のさらなる遅れを引き起こす。運転手は焦るはず」と指摘する。
分刻みの争いをしなければならない裏には、少子高齢化で乗客数は年々減少し、鉄道各社は少ないパイを奪い合う状況になっているという事情がある。
JR西日本の在来線の乗客数も、ピークだった96年度の18億4千万人から03年度は17億5千万人に減少している。しかし、スピードと定期券の安さを武器に競合する私鉄の乗客を奪っている。